
再建築不可物件とは何か
日本の住宅は「建築基準法」や「都市計画法」という法律に従って建てられています。
その建築基準法は昭和25年に、都市計画法は昭和43年に施行されており、それらの法律が施行される前に建てられた家などは、「再建築不可」物件の可能性があります。
再建築不可物件とは読んで字のごとく、再建築(=建て替え)ができない物件のことです。
なぜ再建築ができないかというと、建築基準法に定める接道条件を満たしていないことが原因です。
建築基準法では、「建築物の敷地は(幅員4m以上の)道路に2m以上接しなければならない。」と定められています。
この接道条件を満たさない土地は、災害時などに消防車や救急車などの緊急車両が通行できず、特に火災時などは鎮火が遅れ周辺住居に燃え広がるおそれがあるなど、被害拡大につながる危険性があります。
そういう危険な建物を減らすために、法律で接道条件を満たさない土地への建築を認めないようにしているのです。
再建築不可となる4つの条件
再建築不可(=接道条件を満たさない)物件と扱われてしまう主な条件は、以下のとおりです。
土地が道路に面していない
道路に接する土地の間口が2m未満
接する道路が建築基準法上の道路ではない
物件が市街化調整区域内にある
1.土地が道路に面していない
建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。(建築基準法第43条)
自身の土地と道路との間に他人の土地が存在するなど、自身の土地が道路に面していない場合は、接道条件を満たすことができず、再建築不可物件と扱われます。
自身の土地が他人の所有地に囲まれている、いわゆる「袋地」である場合が該当します。
また、道路との間にある他人の土地が、現地の状況では道路の一部、または自身の土地の一部になっているように見える場合もあります。
そういった場合でも接道条件を満たしているとはみなされないため、現地の状況だけでなく、公図や土地の登記情報なども確認することが重要です。

2.道路に接する土地の間口が2m未満
旗竿のような形状の土地の場合など、道路に接する土地の間口が2mに満たない場合は、接道条件を満たすことができず、再建築不可物件と扱われます。

上記図の土地①の場合、道路と直接接する部分だけではなく、旗竿部分すべてが2m以上の幅があることが必要です。
また、上記図の土地②、③のような場合、道路との間にある旗竿部分が、建築基準法上の道路ではないにもかかわらず、現地では舗装されており道路に見えることがあります。
この場合、建築基準法上は旗竿部分を土地➁と③の「宅地の一部(=旗竿地)」として、接道条件を満たす必要があります。
接道条件を満たすには、旗竿部分の間口が2m×2m=4m必要となり、また、旗竿部分に土地➁と③がそれぞれ2分の1ずつ持分を持っていることが必要とされることがあります。
現地の状況だけでなく、公図や土地の登記情報、測量図なども確認することが重要です。
3.接する道路が建築基準法上の道路ではない
土地と道路は問題なく接しているが、その接する道路が「建築基準法上の道路」ではない場合も、接道条件を満たすことができず、再建築不可物件と扱われます。

建築基準法上の道路とは、建築基準法第2条1項に定められている5種類の道路です。
接する道路が建築基準法上の道路かどうかは、現況の幅員が4mあるかを確認したうえで、役所で確認が必要となります。
建築基準法上の道路とは、建築基準法第2条1項に定められている5種類の道路です。
接する道路が建築基準法上の道路かどうかは、現況の幅員が4mあるかを確認したうえで、役所で確認が必要となります。
4.物件が市街化調整区域内にある
「市街化調整区域」とは都市計画法に定められた、街づくりを抑え市街化を抑制していく地域のことです。
つまり市街化調整区域では、原則として新たに建物を建てることができません。
再建築不可物件の2つのデメリット
1.建て直しができず、物理的瑕疵や災害のリスクが高い
再建築不可物件のデメリットは、当然ながら再建築(建て直し)ができないことです。
現在家が建っている場合は、取り壊してしまうと、今後は建て替えができないため、リフォームをしながら維持していく必要がありますが、建物の築年数が古くなるほど雨漏り被害※やシロアリの被害※などの「物理的瑕疵」があるリスクも高くなります。
そのうえ、地震や火災などの災害で家が消失してしまった場合でも再建築はできないため、通常の物件よりも災害リスクも高くなります。
※雨漏り被害のリスクについては、【「雨漏り被害がある物件」を売却する方法】の記事で説明しています。
※シロアリ被害のリスクについては【「シロアリ被害がある物件」を売却する方法】の記事で説明しています。
2.住宅ローンが利用できない
再建築不可物件については、不動産の担保評価が低くなるため、購入時に住宅ローンを利用できない可能性が高くなります。
そのため購入可能な顧客層が限られてしまい、おそらく一般の顧客層は購入の検討が難しいでしょう。
再建築不可物件を売却する3つの方法
1.現金購入の方に売却する
現金で購入される方であれば、再建築不可物件のデメリットのひとつである、「住宅ローンが利用できない」という部分が関係ありません。
しかし、三井住友信託銀行による「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)によると、住宅取得者の約8割が住宅ローンを利用しているそうです。
約2割の現金購入客の中から、再建築をするつもりもない、という方が現れれば売却できる可能性があります。
ただし需要の少なさ故に、大幅な値下げが必要となるリスクや、そもそも買主が見つからないというリスクは覚悟しておくべきでしょう。
2.不動産投資家に売却する
不動産投資家は節税のため法人化している方が多く、法人が不動産を購入する際、住宅ローンではなく事業ローンを利用します。
事業ローンは対象となる不動産の内容ではなく、融資を受ける法人の業績をもとに融資の可否を判断します。つまり、物件が再建築不可であるかどうかは関係ありません。
不動産投資家が納得できる利回りが確保できれば、売却できる可能性があります。
3.再建築が可能となる条件を満たす
もちろん物件によって内容は異なりますが、再建築が可能となる条件を満たすことができれば、通常の不動産と同じように売却することが可能となります。
例えば、接道間口が2mに満たない場合に「隣接土地の一部を購入し合計で2mの間口を確保する」などのケースが考えられますが、この場合、お隣と信頼関係ができているか、またはお隣がお金に困っているなどの都合がなければ、隣接地の一部を購入できない可能性もあります。
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